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他士業にもすすめたい『これって非弁提携?弁護士のための非弁対策Q&A』

 非弁行為について解説した書籍、深澤諭史『これって非弁提携?弁護士のための非弁対策Q&A』が一昨年の年末に出版されています。

 「非弁行為」というのは、ざっくりいうと、

弁護士・弁護士法人でないとできない法律事務を報酬目的で業として行うこと

です。


 非弁行為は弁護士法違反の犯罪です。

(弁護士法77条。法定刑は2年以下の懲役または300万円以下の罰金)



 弁護士であっても、他者の非弁行為に関与すると、刑事責任を問われたり、弁護士会の懲戒を受ける可能性があります。


 上記書籍は弁護士向けのタイトルです。

 しかし、他士業つまり司法書士行政書士、税理士、社会保険労務士などの方にも有益な書籍だと思います。
 真面目な司法書士行政書士の先生は、各士業の法律上許された権限内での業務を慎重に考えていらっしゃるので、依頼者のリクエストに応える際にお悩みになる場面があると思います。
 そのような他士業の先生には、特に上記書籍は参考になるはずです。


非弁行為が規制される意義


 弁護士ではない者が報酬目的で法律事務を業とすることが規制される目的は、

非弁業者に依頼する者や関係者の利益が害される危険があることや、

健全な法秩序の維持といった複数の目的が挙げられます。
 
 非弁行為で直接的に利益を害されるのは、そのような業者に依頼した人です。

非弁業者・非弁行為をする士業に依頼してしまうと


 適法な権限を有しない者に何かの法的問題の処理を依頼してしまうと、
適法な権限がないからこそ、適法な手段や内容で解決ができなかったり、
適法な業務でないためにかえって割り高な費用を要求されたり、
表面上は解決しても後で無効とされるおそれがあったりします。

 非弁業者の特徴として、「代理(人)ではない」ということを強調して相手方と事実上の交渉をしようとしたりします。
 わざわざ「代理人ではない」という不自然なことを言って、法的紛争に関わろうということ自体、違法な非弁行為をやっている認識があるのでしょう。
 「代理人ではない」といえば、違法な非弁行為が適法に変わるわけではありません。

 非弁行為の禁止は、代理人になるかどうかを規制しているわけではありません。


非弁業者に依頼してしまったら


 非弁業者に依頼してしまった人は、原則として弁護士法違反の罪に問われません。
 ですから、その点は心配せずに、非弁業者・非弁行為をする士業に依頼してしまったことを早めに弁護士に相談していただければと思います。

 

(マイベストプロ北海道のコラムで2018年3月26日に公開したものを加除修正しました。)